ハイビジョン動画撮影はビデオか一眼レフか

ホームビデオもハイビジョンの時代

通常のテレビがハイビジョンになってしまった今、動画の撮影もハイビジョン画質でないとさびしい感じがします。
数年前までは少なかったハイビジョンの家庭用のビデオカメラも今は品揃えが豊富になりました。私が今使っているのは6年ほど前に購入したCanonのivis HV20というテープに録画するタイプのもの。HDDに録画するタイプは値段が跳ね上がりますし、テープならそのまま保存もできますから。

ただ、残念なことに家庭用ビデオカメラではいろいろ不都合な点もあります。

1. 家庭用ビデオカメラは、高倍率だが、広角が苦手。

実際に撮影をしてみると、ノーマルではあまりにも画角が狭い事に気付きます。ホームパーティなどを撮ろうとしても、部屋全体は入りません。CCDがAPS-Cサイズのデジカメなら35mm位の画角(45度くらい)です。
APS-Cサイズの一眼レフカメラ(入門〜中級機)の場合、レンズキットについているズームレンズでも広角側は18mm(画角75度くらい)です。このくらいならどうにか室内をおおむね収める事ができます。
でまあ、仕方がないので別売りのワイドコンバーターを使うわけです。これで24mm(62度)くらいまで画角を広げる事ができます。

2. ワイドコンバータの問題

画角の問題はワイドコンバーターでなんとか解決しますが、デメリットも増えます。
このivis HV20用のワイドコンバーターは、でかいです。もちろん、その分重くなります。重さはあまり気にしてませんが。
それで、ワイドコンバーターを使うと、カメラのライトがこのレンズに遮られて役立たずになります。もちろん静止画撮影機能でフラッシュを使うこともできなくなります。
もっとも、カメラのライトは気休め程度の光量しかありませんし、静止画撮影機能もほとんど使ってないので、今の所問題は感じません。
別の問題として、ワイドコンバーターを使うと画像が樽型に歪みます。
どういうことかと言うと、広角側で女性を撮影しちゃダメよと。実際より太って写りますから。

3. ピント合わせがやりにくい

ピントをカメラ任せにすると、手前のほうにピントが合って奥がぼける、という問題もあります。マニュアルでピントを調整するホイールはありますが、マニュアルでやるとすばやくピントを操作する事ができなくなります。

4. 露出制御が事実上できない

選択肢がノーマルか、逆行補正の2段階しかなく、微妙な調整が不可能。

5. 高倍率だと手振れ補正が悲惨なことに

ぶっちゃけ、絵が揺れまくるので手持ちでは最高倍率は使えません。三脚必須です。

と言うわけで一眼レフカメラ

上記の問題を解決してくれるのがデジタル一眼レフカメラです。
一眼レフカメラの動画機能と言うのは、静止画のおまけみたいに思われがちかもしれませんが、「絵作り」という点ではホームビデオよりはるかに優れています。
一眼レフカメラの場合、レンズキットで付けられているズームレンズでも広角での歪みは小さめです。レンズ交換が可能なので、家庭用ビデオカメラでは不可能な、魚眼、超広角、超望遠での撮影も可能になります。
ピント合わせをカメラ任せにしているとおかしな所に合うことがあるのはビデオカメラとほぼ同じですが、マニュアルでのピント合わせはビデオカメラより早く行えます。
また、明るさのコントロールも幅広く、ちょうどいい明るさを狙う事ができます。
手振れ補正については、一眼レフの場合レンズ側に手振れ補正を任せているので、手振れ補正機能の付いたレンズを選ばなければなりませんが、レンズキットについてくるレンズには手振れ補正はついていますし、そもそも一眼レフカメラは重いので手振れしにくいという利点もあります。

動画撮影向きの一眼レフカメラは?

私が使っているのはNikonD7000です。ただ、私がNikonを選ぶのは純粋にNikonブランドへの憧れでしかありません(フィルムカメラ時代はNikonが世界最高峰のメーカーだったのですよ)。今後もNikonを使うつもりでいますが、こだわりのない人の場合、Canonも大いにありです。
というか、動画撮影に絞ると、NikonよりはCanonを選ぶほうがよいかもしれません。Nikonの場合、1回の動画の撮影時間が20〜30分に制限されていますが、Canonにはその制限がなく、バッテリーとメモリーが持つ限り撮影できるからです。(※Canonの機種も1回の撮影時間は30分くらいの制限があることが分かりました。公式サイトに記載されてないんですよねこれ。)

ちなみに、NikonCanon以外のメーカーを取り上げない理由は、使えるレンズはこの2社のものが豊富だからです。カメラメーカートップ2は伊達じゃありません。

動画用一眼レフカメラお勧め機種

Canon EOS Kiss X5

X6iが出た事で型落ちしたモデルです。型落ちしたと言うことは、お買い得と言うことです。
バリアングル液晶を搭載しているので、普通のビデオカメラのように手を上に構えた状態で画面を確認・撮影する事ができます。バリアングルがないと、こういう撮影は結構難しいんですよ。
こちらは、ダブルズームキット
が売られていますが、これはあまりお勧めできません。というのも、ズームの範囲がそれぞれ広角用18-55mmと、望遠用55-250mmで、標準の領域でレンズを交換しないといけません。これは非常に使いづらくなるはずです。せめて18〜105mmとか、理想は18〜200mmくらいのセットが売られるようになったらそちらを選ぶべきですね。
現状はボディとレンズを別で買う形になります。
  レンズは、純正品なら18〜200mm(約11倍ズーム)、

 あるいは18〜135mm(約7.5倍ズーム)が選択肢となります。
タムロンレンズなら、
 が18〜270mm(15倍ズーム)と倍率が高く、手ブレ補正もついています。タムロンレンズは手ブレ補正がついていないものも多いので選ぶ際は要注意です。

同クラスのレンズなら、シグマにも手ブレ補正付き高倍率レンズがあります。
  こちらは18〜250mm(13.8倍ズーム)です。
左が新しいモデルです。個人的には、シグマは高級レンズというイメージがあるのですが、意外な事にタムロンより安いです。画質のほうはシグマのほうに定評があります。

Nikon D5100 レンズキット

型落ち入門機でバリアングル液晶搭載といえば、NikonのD5100も価格がこなれてきています。
(紹介リンクが作れなかったので文字リンクで紹介。)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B004V4SPQW
ただ、これは動画1つ当たりの撮影時間が20分前後に制限されています。
後継のD5200は動画撮影時間が約30分まで伸びましたが、今のところ良いレンズキットもありません。

Canon EOS kiss X6i

X5の後継機で、ちょうど良いレンズキットがありました。

レンズは18〜135mmで、F3.5〜5.6と明るめ、ズームの範囲も十分と言えます。バリアングル液晶も搭載しているので、動画撮影用としてはこれがちょうど良いのではないかと思います。

メモリーカードはクラスが大事

メモリーカードのクラスとは、データの書き込み速度を示す指標です。数字が大きいほど速度が早い。10が最速です。
Nikonの場合、動画撮影時はクラス6以上のメモリーカードを使うように指示しています。
うっかり値段だけでメモリーカードを選ぶと痛い目に遭います。特価品の場合、クラス4とかざらにありますので要注意です。
 32GB (これはclass6)

 64GB
 128GB
個人的には容量は32GBくらいでも十分だと思います。これを使いきるくらいになると、パソコンへの取り込みも大変ですから。
64GBを1枚買うか、32GBを2枚買うかとなると、私の場合32GBを2枚買うほうを選びます。1枚しかないと、そのメモリーカードに不調が起きると撮影不能に陥るからです。
私の使っているD7000はメモリースロットが2つあるので、2枚差して使っていますが、うち一枚は頻繁にエラーが発生し、そのカードを抜かないと使えなくなるトラブルに見舞われます。エラーの起きたカードはパソコンに差すとデータも取り出せますし、それでエラーも解消してしまうので、おそらくカードの品質の問題だと思います。予備はあったほうが安心です。
なお、クラス6と10ではあまり価格差がないので、ここは余裕を見て10を選ぶほうが良いでしょう。