ドメインの管理移管でやっとくことのメモ
クライアントのウェブサイトリニューアルで、サーバーの引っ越しとドメインの管理も引き継がなきゃいけない場面というのは多い。
クライアントがウェブサイト・メールの管理を全部制作会社に丸投げしてるときに発生する。
まあ、お客さんにしてみれば、「ホームページとかメールとかよく分からないんでうまいことやっといて」ってなるのは分かるんだけど、これをやってしまうと、制作会社は大抵、自社名義で借りたレンタルサーバーにクライアントのドメインを作って、ドメインの管理もサーバーの管理も全部「間借り」状態にしてしまう。
そうすると、リニューアルのついでに他社に保守管理を任せようという時に、サーバーの引っ越しをしなきゃいけない。
この作業が、一歩間違うととんでもないトラブル(メールが使えなくなる、その間に送られたメールが行方不明になるなど)を発生させるのですごく気を使う。
とはいえ避けられない作業ではあるので、トラブルを避けるためのポイントをメモしておく。
事前の確認項目
ドメインをどこで管理しているのか
お名前.comとかなら、ID付け替えだけで済むようにアカウントを準備する。
現在のレンタルサーバーが運営しているものの場合は移管の手続きについて確認する必要がある。
スタードメインなどは転出がクソ面倒(管理移管と解約がセットになっていて一旦解約手続きをすると手戻りできないなど)なので要注意。
現在の各種設定の確認
問題発生時にどうにかできるように移管前の設定を記録しておく
- DNSレコードの設定
→使う機会はまずないが、情報のバックアップは大事。 - whois情報が正しいか確認。特に管理者のメールアドレスなどの連絡先がちゃんと届くものになっているか。
→管理者移管の手続きにおいて、whoisの管理者にメールで確認する仕様のところがある。現管理者が雑な管理をしていると情報を更新していないなどの理由で使えないメールアドレスであることがあり、移管ができなくなることがある。
スタードメインは転出手続きを取った瞬間からwhois情報の修正もできなくなるため、解決にとんでもない労力を必要とすることになる。 - 現在使用中のメールアドレス(アカウント)。
→新しいメールサーバーに登録するために必要。 - ウェブサーバー、メールサーバーはどこを使っているか。
→同一のレンタルサーバーだとアカウントAからアカウントBへのサーバー引っ越しは行えないので注意。Aを解約し、Bを契約するという手続きが必要で、その間、メールもウェブサイトも使えなくなる。
新しいサーバーの情報の確認
- 外部のドメインベンダーを使えるか?
→特定のDNSサービスしか使えないところが結構多い。ロリポップはサーバーのDNSかムームードメインしか使えないし、NTT系列も外部のDNSサーバーは使えないところが多い。外部のレジストラを使えるかどうか、契約予定のレンタルサーバーのFAQを確認またはサポートに問い合わせる必要がある。 - サブドメインでメールアカウントを作れるか?
→ロリポップはサブドメインでメールアドレスを作ることはできない。
→特にShopifyは問い合わせフォームの運用に独自ドメインのメールアドレスが必要になる。CNAMEレコードでの接続が要求されるため、サブドメインでメールを作れないと困ることになる。 - DNSの各レコードの設定
特にSPFレコード。SPFを設定しないと、Gmailにメールが届かなくなるので注意。今後はDKIM、DMARKも設定できるのが理想。
やっておくこと
- ドメイン移管を受けるレジストラ/リセラーのアカウント作成。
→理想はクライアントが契約・管理するアカウントを作成すること。丸投げされているとこちらの名義で管理することもある。 - サーバーにドメインを登録
- 新しいメールサーバーにメールを登録
Xserverの場合は、メールアドレスを登録する際に所有者確認が必要になる。現行のウェブサーバーの公開ルートディレクトリに所定のhtmlファイルを設置するか、webmaster@~またはadmin@~のメールアドレスに対して所有権確認が行われるため、現在の管理者にメールアカウントを登録してもらう必要がある。 - クライアントのメールソフトに新サーバーに接続するアカウントを追加する。
→Outlookは同一メールアドレスでのアカウント追加は原則不可で、特殊な方法で追加しないといけない。クライアントに手順書を渡すなどしておく必要がある。
→Outlookは、アカウント追加時に解決不能なエラーが出やすいので注意。IMAPの方がトラブルが発生しやすい印象。 - 新しいウェブサーバーにサイトを構築
→Xserverだと仮アドレスが無いのでhostsを編集して確認しないといけないのが面倒。
→Wixなどを使う場合はAレコードやCNAMEレコードなどの値をどうするのかチェックしておくこと。 - 切り替えの計画と手順の作成。