物品レンタルの案件は難しい

物品レンタルのECサイトを作りたいという要望を時折頂くことがある。

 

ところが、物品レンタルを製作できるECサービスというのはかなり少ない。

今のところ私が見つけたのは、aishipRENTALとShopifyの2社だけである。

 

物品レンタルは一見、会議室や(美容室などの)スタッフの予約システムを流用すればできそうな気がする。

しかし実際には物品レンタル独特の要件があり、これらの予約システム流用はかなり使いにくいものとなる。

物品レンタル特有の要件とは以下のようなものである。

 

1 1つ(1種類)の商品で複数の在庫を持つ

会議室やスタッフの予約では、部屋やスタッフは一人ずつであり、重複して予約することはできない。むしろ重複が発生しないようにシステムが組まれている。

物品レンタルの場合は1種類の商品をレンタル在庫として複数個用意することが多い。そのため、会議室・スタッフ予約システムを流用しようとすると、会議室やスタッフを在庫数の分用意することになる。

またユーザーも、その在庫から選んで予約するような形となるため、利便性が悪い。

 

2 色違い・サイズ違いなどのバリエーションがある

物品レンタルはどちらかというと物品販売のECシステムに近いところがある。レンタル衣装などでは一つの商品に色やサイズによるバリエーションがあり、それらは商品の詳細ページから選択する方がユーザーにとって便利である。

会議室やスタッフの予約システムはこのような要件に応えられない。

 

3 数日にわたって貸し出されることが多い

会議室やスタッフの予約、というのは大抵数時間程度であり、日をまたぐことがほとんどない。そのためこれらのシステムでは、複数日の予約には対応できない、というシステムも多い。

日付をまたぐ予約が可能なのは宿泊施設向けの予約システムくらいのものである。

 

4 ユーザーの予約の前後に物品を配送するための期間が必要になる

レンタル品の貸し出し・返却をユーザーが店頭に出向いて行うのであれば、レンタル開始日・終了日だけで問題ないが、郵送するパターンの場合はレンタル期日の前後数日間を配送に充てなければならない。

そのため、在庫管理において、ユーザーが入力したレンタル期間の前後も含めて管理しなければならない。

とはいえこちらはある程度運用でカバーはできる。会議室などの予約システムでも、貸出が終わった後一定時間は他の人が借りることができない、というインターバル設定機能がついていることが多い。

インターバルを返却の郵送時間・次の貸し出しの発送期間の合計で設定するのと、当日予約を不可とし、貸出予約が可能になる日時を郵送に必要な期間分、後に設定すればよい。

 

 

さて、現在存在する物品レンタルのECシステムでも上記4条件を完全に満たせるものはさらに絞られ、aishipRENTALのみとなる。

外国製の物品レンタルシステムの場合、予約日のフォーマットが「年・月・日」ではなく、「月・日・年」や「日・月・年」の順になっていたり、金額が小数点以下2桁まで表示されることが多く、非常に使いにくい。

 

このような状況から、物品レンタルのECシステムはまだブルーオーシャンであり、通常のECサイトや予約サイトよりも利用料金は高く設定されている。個人的にはもう少し選択肢が増えてくれないかなと思っている。