「『ソースコード』と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラム」という文章表現

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【遠隔操作】”ソースコード”というウイルスに慌てふためくtwitter民 - NAVER まとめ
朝日「「ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラム」の読み方 - Togetter
問題の段落。

首輪に仕込まれたメモリーカードには、「ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた。アルファベットや数字の文字列だ。

新聞とか、こういう悪文目立つよね。

ものを書くという仕事の中でも「物事を正確に伝える」という目的があるのが新聞なので、係り受けが不明瞭な文というのは結構恥ずかしいことだと思います。とはいえ、そういうわけの分からない文章や見出しが目立つのもまた新聞なんですよね。文字数や時間の制限がある中で、まあ粗が出てしまうのは仕方のない面があるとは思います。

さて、問題の解析です。

この記事の文で本来伝えなければならない事柄について、「ソースコード」を知っている人は、その知識を元に次のように解釈します。

上の文が段落全体の文章構造。下の文はその段落に入れる説明文になります。英語で言えばthat節。

しかし、問題の記事の文節は
"ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた。"
となっており、主語を示す「」が、「ソースコード」ではなく、「遠隔操作ウイルス」に付いています。


主語を示す「が」や「は」は主語の直後に付くのが日本語の文法ですので、この段落の骨子は、

首輪に仕込まれたメモリーカードには、「ソースコードと呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた。

ではなく、

首輪に仕込まれたメモリーカードには、ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた。

となります。

問題の記事では、文章がおかしいために

という話が、

という記述に化けてしまっています。

んじゃ、どうするよ

元の段落は70文字です。この字数の+1、‐8くらいの字数に収めるのが目標となります。
文を分割する場合

首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウイルスのソースコードが記録されていた。ソースコードとは、プログラムをアルファベットと数字の文字列で記載したものある。

これだと81文字。字数オーバーですね。

首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウイルスのソースコードが記録されていた。ソースコードとは、プログラムを英数字の文字列で記載したものある。

74文字。もうちょいです。分割しているとちと辛いので本気出して統合します。

首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウイルスのプログラムが、「ソースコード」と呼ばれる英数字の文字列の形式で記録されていた。

66文字。元の文より4文字足りませんが、段落は変わらないのでOKのはず。

問題はまだある

気になるのはそれに続く記載です。

一連の事件でPCが感染したウイルスには、数種類のソースコードが確認されていた。捜査本部が調べたところ、逮捕容疑となった殺人予告に使われたウイルスの文字列と、メモリーカードに入っていた文字列が完全に一致した。

というもの。
とりあえず、「PCが感染したウイルスには」ではなく「ウイルスが感染したPCには」あるいは「PCに感染したウイルスは」ではないかと、

これはさておき、
ウイルスって、ソースコードの形で出回りましたっけ?
たしか、C#で書かれたプログラムだとか言う話もありましたよね。それ、コンパイルしないと動かないでしょ。被害者がコンパイラ持ってたのか、それとも、javascriptの類なのか。

コンパイル後のバイナリと感染したPCに残っていたウイルスのバイナリが一致したということならまだ意味が分かるのだけど。
それなら、わざわざ「数種類のソースコード」と書く必要はないですよね。「数種類のウイルス」で十分。
それとも、感染したPCから取り出したウイルスを逆コンパイルした文字列と、メモリーカードの文字列が一致したということなのでしょうか。(まさか、「アルファベットと数字の文字列」って、「A〜Fのアルファベットと数字」じゃないだろうな。)

なんか、詳しく書いているようで余計にややこしいことになっている気がします。ルーズに読めばなんとなく分かるのだけど、中身はろくに分からない。

結論

報道は慎重に行うべき。